密集市街地はなぜ自己再生されないのか?

参画してからの想い

密集市街地の再編という大きな目的の中で、核となるのが「地域コミュニティ」をいかに再生させるかであります。様々なまちづくり事業がありますが、地域コミュニティを主眼に置く取り組みは残念ながらあまり例を見ないのではないでしょうか。

4月号のまちつくりの焦点にもありますように、密集市街地では、社会に対する適応能力が比較的低い高齢者は、生活圏の変化に取り残され、衣食や医療福祉へのアクセスさえままならない状態にあります。一方で、地域コミュニティが全く存在しないというわけではありません。それは阪神大震災のような有事に、日常生活の中では埋もれて気にも留めない地域コミュニティがここぞとばかりに団結力を発揮して地域住民を救った事例からも読み取れます。

道路整備や住宅更新などの空間更新は、地域コミュニティの再生のもとに位置づけられるものであります。既存のまちづくり事業は空間的更新を達成するための手段的制度であり、本来取り組まねばならない地域コミュニティの再生を主眼とするなどの目的制度ではありません。

密集市街地にみられる数々の問題は都市計画の貧困であり、土地本位制の波に乗って市民の住宅環境が劣化している現状を目の当たりにすると、そもそもまちづくりの制度や物理的構造自体を改革しなければならないという認識が高まります。

住民の視点でみると、行政が自分の意志に反して勝手に自分の土地に絵を描いていると感じる方も多いのではないでしょうか?密集市街地の整備は、住民主体で進めることが望ましいのにも関わらず、行政と住民のニーズは必ずしも一致しているとは言えず、住民の主体性も協働に対する姿勢も満足のいくものとは言えません。

密集市街地の再編においては、土地や建物といった空間的な再生ばかりがクローズアップされますが、本説では、価値観を同じくするもの同士が共鳴する協働する地域コミュニティの再生をより重要な視点の一つだと考えます。

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