2)インターミディアリの重要な活動

①資金調達
日本でのバブル期崩壊後の土地神話の決別は、従来保留床処分で事業費を調達していた、まちつくり事業に大きな影響を与えました。中心市街地の空洞化、大型商業店の撤退、ロードサイドビジネスの波及等により都市の形を変え、生活弱者や高齢者にとって、冷たく辛い地域コミュニティの崩壊が多く見受けられるようになりました。
まちつくりにおける資金調達は、米国のような銀行に対し、営業基盤となる地域の信用需要を支えるため、一定比率を地域コミュニティのために投資を義務づけられている先例は、地域経済の活性化が図られ、多くの企業が参入し、それに伴う雇用機会の増大や地域財政の向上などの効用が見られ、更に市民自らが発意したまちつくりとして途中頓挫のリスクが少なく、投資を受け入れる地域コミュニティも自らの信用を高める自助努力に期待できる、など多くの利点が挙げられます。

スポンサードリンク

日本でも最近、土地の担保による融資の方向転換を図るべくプロジェクト・ファイナンスに見られる事業が生み出す賃料などの収益性を判断基準とする新しい融資手法(シンジケートローン注)など)が出てきております。このような融資手法の向上は地価下落の影響を受けず、大規模なプロジェクトを可能としました。
注)資金調達ニーズに対し複数の金融機関による協調融資団を組成し、同一の契約書による貸出等の信用供与を行う融資形態をいいます。

しかしNPOへの融資の対応はどうでしょうか。日本での実態は、まだ少なく現実感のあるものでは残念ながらありません。こういった融資の課題として、

① NPO自体の存在理由として、民間の目的が「利潤の追求」としての「収益性」であるのに対し、NPOは何らかの公益への貢献をミッション(使命)としているため、経済市場とは一歩離れた場所での活動であると思われていること。

② 持続可能な事業活動を支えるためには民間でもNPOでも人材、資金、情報といった資源を使って活動を展開し、効率性と安定性を求めている。しかしNPOは共にミッション性を重視した効率性や安定性であり、融資返済能力の安定性などではないこと。

③ 組織管理の観点から見ると、NPOにも制度の高い長期事業計画の作成が必要であり、内部管理能力の高い人材が必要であり、不安定な将来では融資は受けられないこと。

などが挙げられます。
一部日本でもNPOへの融資を実行している金融機関や地方自治体はありますが、一定少額枠しかなく、担保のない1000万を超える融資はまだ日本にはありません。

特に金融機関では、NPOに対する審査手法の確立が未だ統一されておらず、民間と同じ視点で捉えること自体、NPOの特性からも多少無理があると感じますが、一方で融資を受けるためにはNPO自身の能力の向上も組織として当然ながら必要です。
組織内の資金収益管理能力、収益向上に伴う実行力、情報提供力、交渉力など組織としてあるべき姿を整備することが大事です。こういった教育プログラムの作成、実行、育成、支援はインターミディアリの重要な仕事の一端になると考えられます。

更に社会の認知が進めば、このような一定の力のある信頼できるインターミディアリ下で指導、支援した地域の「まちつくりNPO」という担保での融資が可能になる、或いは自治体からの委託基準として活用するなどの大胆な発想も考えられると思います。

またまちつくり事業ではTIFの制度の活用などを通して、まちつくり事業へのNPOの関与も考えられます。この制度は将来租税の増収となる部分を財源にし公債を発行して事業原資を賄う方法です。(中心市街地への投資財源と『TIF』活用の可能性 第74回) まだ日本では法的整備や税収の優遇措置、投資市場の活性化が未知数なため、実行できる段階ではありませんが、事業実施能力の長けたまちつくりNPOであれば、非常に期待の持てる制度だと思います。

今回改正のあった密集法の一部に防災街区整備推進機構の指定対象にNPOが追加され、従来行政や公団がやっていた密集市街地での事業主体をNPOが行えることになりました。
地元で行政の立場でない「まちつくりNPO」が主体的に動けるようになったことは、密集という、いわゆる住宅街で民間が手を出しにくい地域コミュニティを守る上でも市民参加型を目指すまちつくりに近づきつつありますが、事業の観点からその仕組みを考えてみますと、税金対策や特区の指定、規制緩和など行政からの支援を使うことによって、別の資金調達も考えられ、それは地域コミュニティが再生するのに有効な手段として応用できます。こういった専門的技術制度のノウハウを持つ「まちつくりNPO」になるための、広い視野と実力を兼ね備えたインターミディアリの登場が必要だと思います。

●保留床の取得による資金調達の一例
低所得者向け、高齢者向け住宅の建設とその運用管理
公益公共的施設の賃貸、管理、運営とそれに伴う補助
共同化に伴い、借地権の所有とその運用管理


②構想力と関連情報に関する技術支援
地方分権が進み、市民参加によるまちつくりの可能性は、まちづくりの主体性を明確にして今後も進んでいくものと考えられます。
インターミディアリが持つ可能性はまだ十分にその役割が認識されておりませんが、社会に求められている期待として、地域コミュニティの序動活動に対し、まちつくり技術の科学的な体系化と思想的な統合を図り、それをまちつくりNPOなどのコミュニティ組織を通じ、積極的に展開し、それを支援する連合組織的な協働体制の構築であることを踏まえ、今回、不充分ながら考察させて頂いたインターミディアリの重要な役割として、資金支援のほかに、技術支援、情報支援が伴って始めて有効なものとなります。
これらについて、インターミディアリ下でのNPO等によるまちつくりへの積極的な支援が、資金面での支援策や事業委託機会の増加、税収面での緩和措置、或いは事業における大胆な権限委譲(地域運営や施策住宅運営等)が受け入れられる社会的な体制の整備とともに構築していくためにも、今後更に引き続き連載させて頂きたく考えております。

スポンサードリンク

この記事のタグ

サイト内関連記事

1)まちつくりNPOを取り巻く環境
米国でのまちつくりNPOの活躍は、資金面のみならず運用面でもまちつくりにおける必......

▲このページのトップへ

bi1.gif
bi2.gif
bi3.gif

携帯版のQRコード

密集市街地の再編へ 「まちつくりインターミディアリー」の必要性一考察:携帯版

携帯サイトは3キャリア対応です。

当サイトは携帯でもご覧頂けます。
携帯版サイトURL:
http://udit.sakura.ne.jp/town80/m/
上のQRコードから読み取るか、URLをケータイに送信してアクセスしてください。