密集市街地における再編手法の検討
シンキング・ツールを用いた検討の模索
密集市街地の再編に向けて、特に防災性の向上が緊急性をもつことから、法の整備や予算の確保などが近年積極的に行われてきている。しかし密集市街地の再編に向けて事業は進んでいるだろうか。木造の密集住宅の共同化事業が、ゆっくりとしたスピードながら進んでいる地区がいくつか見受けられるほかは、転出する住民の敷地をまちづくり用地として確保したり、防災のための街路整備を行うなどといった部分的に行われているところが大多数である。多くの地区で狭小敷地や接道の問題などで老朽住宅の更新も行うこともできず、そのような住宅事情から若者の流出を招き、高齢化が進んでいるような状況がある。そしてそれらは周辺のコミュニティにも影響を及ぼし、商店街の衰退等も進んでいる。
では、なぜこのように再編が遅々として進まないのであろうか。それは様々な要因が絡み合った密集市街地において、「それらをどうやって紐解き、どのように再編を進めたらよいのか」という疑問を解決するすべがみえないことが大きな要因と考えられる。そのため事業制度や予算が国土交通省や各自治体によって徐々に整備されてきているものの、実際の現場においてそれらの活用が十分にできていないという現状にある。
今号においては、このように悪循環を繰り返して衰退化する密集市街地の再編に向けてどのように課題を探り、それをどのように理解して再編への解決手法につなげるのか、という考え方について、提案も含めながら進めていきたい。
