中心市街地への投資財源と『TIF』活用の可能性
都市を取り巻く環境は、近年急速にその様相を変え、時代は、従来の“上から下へ”ではなく、“下から上へ”すなわち、個々の市民レベルの意識が社会全体に反映される状況へと変化しつつあるように思われます。行政においては、中央による補助金行政から地方分権へと移りつつあり、地域経済は、ナショナルチェーンに代表されるマクロ経済から地域住民の需要を繊細に発掘するミクロ経済へと、また、消費動向は、供給サイドから需要サイドへ移り、トレンドは明確に多極化に飽きたらず、本質的変化を伴う“下から上へ”、“個から全体へ”の動きを示しております。そのような中で、本来都市の中心にあり、都市住民の便益を提供すべき中心市街地は、秩序を見失った従来型の力に押され、青息吐息の状況にあります。
本稿は、前半において、中心市街地の現状と再生への具体的方策に触れ、後半において、市民の力を中心市街地の再生に活かすべく1970年代の米国において開発されたTIF(Tax Increments Financing) 方式について概観を述べると共に、我が国各地の中心市街地再生において、この方式が如何に有効に機能し得るかの検討を主な目的としております。
