再開発効果の事後検証の対象

 日本における公共事業については、その必要性や経済的合理性に疑念がもたれたり、不可逆的な環境破壊などのマイナス面を無視しえないと批判されるケースが多くみられます。こうした批判に対し、公共事業の効率性や透明性を確保するため、その公共事業を行う意義があるかどうか事前に評価を行うシステムが採用されてきています。

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 市街地再開発事業については平成10年に「市街地再開発事業の新規採択における評価指標(案)」等が策定され、新規に国が事業採択するときなど事業の費用便益分析を行うこととなり、その評価手法についてマニュアルも作成されています。


 このマニュアルには評価のやり方が実務的に詳述されています。それには、再開発効果の捉え方として「地域間の収益性、利便性、快適性の水準の差は地価水準の差に表れる」という考えに基づき、再開発実施による便益を地価を用いて計測するという「ヘドニック・アプローチ」が主に用いられています。
 実はこのマニュアル中にも指摘されているのですが、理論的にはともかく、実務上の問題として 、

「果たして上記の考えが反映された精度の高い地価データが得られるか?」
「地価に反映されづらい便益をどう計測するか?」

などと指摘されています。

 前者の地価の問題は、再開発を行ったところであれば当然に様々な事業収益をあげられる条件が整って立地が向上する、すなわち地価は上がるものと考えられます。しかし、実際データをみると分かるのですが、近年の地価の下落傾向、とくにバブル崩壊直後の急落時にはこうした再開発実施地区ほど大きく地価が下落しています。中心的な商業業務地ほど地価が急上昇し、急速に下落した経緯が一般にみられます。事後検証しようとするとこのような土地の収益性とは無関係に投機的な期待値に引きずられた地価の変動をどう切り分けるかという問題に直面します。

 後者の計測しにくい便益には、例えば地域への誇りや郷土愛といった心の動きや、コミュニティ意識やモラルの高まりなど社会構造に関る問題などがあろうかと思います(特に上記マニュアル中には具体にあげられてませんが)。

 後日掲載します「自治体経営におけるまちの基盤整備の効果について-その2-」で、ケーススタディ結果をご報告しますが、上記マニュアルの目的(事前評価)と異なり、事後検証により実際に再開発効果がどのように表れ、自治体財政に影響したかなど、以下の3項目を実証的に調べてみたいと思います。


1.自治体の市税にあたる歳入項目、すなわち固定資産税(土地・建物)、市民税(個人・法人)等に対して再開発実施の効果がどう現れたか。

2.都市の商業力や雇用、買物など人々の生活行動がどのように変化したか。

3.周辺の土地利用がどう変化したか。

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