自治体経営におけるまちの基盤整備の効果について
市街地再開発事業におけるケーススタディ― その1
まちづくりに対する公共投資、特に拠点的な既成市街地の再生手法である市街地再開発事業を通した公共投資により、多くの都市においてその中心街区が形成されてきました。多くの場合まちの中心を再生する目的で行われる再開発は、広範囲の都市住民にとって、その生活利便や、魅力的な環境の享受、市民交流の活発化など様々な効果をもたらしていると考えられます。また、土地利用の効率化、高度化により、長期的に地域の経済活動の生産性を高め、雇用を促進するなどの経済効果も期待されます。その結果、直接間接に公共部門の税収を増やし、市民全体に開発利益が配分されることが公共団体の期待する効果の一つといえます。
一方で、地方公共団体の財政状況は深刻な状況にあります。長期的な景気低迷のみならず高齢化の進展による財政需要の増大という構造的な問題もあります。再開発などまちづくりに対する投資に予算を振り向けられる公共団体は少なくなってきています。このような財政事情があるのか、最近は行政がイニシアチブをもって積極的に予算措置をし、まちの基盤整備、立地形成を図っていこうというケースが急減しているように思われます。
その結果、民間資本を導入して立地形成を図りうる開発ポテンシャルの高い地区にまちづくり投資が限定されたり、民間や地域コミュニティの発意、取り組みを行政が支援していく、少し行政が後ろに下がっているスタイルが多くなっているようです。
またもう一方では、持続的・安定的な自治体経営上の課題を考えると、地域コミュニティの力を結束し、地域資源を活用するなど新たな地域産業を育て、経済を活性化し、雇用創出、税財源確保につなげていく政策も重要性を増して行くといえます。
本稿では実際に施行された市街地再開発事業をとりあげ、特に公共団体の財政に対し直接、間接にどのような影響を与えたと考えられるか、事後検証としてケーススタディを行い、自治体経営上のまちの基盤整備に対する重要性を考えてみようとするものです。
