市民参画手法の今後
現在の激変する社会経済の中で、社会資本整備のあり方については全国各地で厳しい批判が起きています。公共投資が次世代を含めて適正な市民便益を生み出せるか否か、そして計画実施上の透明性と効率性を中心に批判が発生しています。
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しかし、このような批判にはまちづくりにおける知識不足などからくる実りの少ない論議も多く観察され、感情的な部分での衝突が重なり、問題の中心に到達せず、有効な結論を導き出せなくなっている場合もあるようです。
従って地域自治の計画立案に関する多くのリテラシーや義務教育への導入或いは専門的基礎理解を進めるための市民講座等が社会的認知を受ける必要があります。そのための方策の一部として、以下のようなことが考えられます。
1. 市民講座等を開設するにあたっては、計画の目標別「計画手順集」と「計画素材集」等を作成し、市民主体の計画立案およびその判断が可能な措置を講じることが大切です。例えば街づくりNPOが市民と計画を立案するにあたり、ワークショッブの手法、アンケートシステム、また意見の集約方法としてKJ法の導入等により不安定な住民意向を確定する技法をマニュアル化し、「計画手順」としてまとめたものを活用します。また計画そのものについては計画を立案する構成要素をパターン化し、素材としてワークショプの場に提供し計画立案時に比較検討し易い「計画素材集」の活用を図ります。
2. 計画の立案にあたっては上記「計画手順集」等により材料、技法が整ってもワークショップでのリーダー役がいかにまとめるかがその成否を握ると言えます。そのようなリーダー育成のための行政支援措置、またまちづくりNPO等の結成等も、リーダーシップの育成に大きな力を発揮するでしょう。
3. ワークショップは、権利者などを指導するコンサルタントの資質はもとより、わかりやすい「計画素材」等の提供が可能かどうかが成功の鍵を握ります。また、まちづくりの初動期におけるワークショップといった市民参加型の計画プロセスの重要性は認識されつつありますが、そのための時間、人材等の費用面での課題が残ります。そのためコンサルタント派遣など、行政による補助制度の充実も重要な要素として望まれます。
いずれにしても、新しい世紀を間近に控え、これからより充実した市民生活の環境を市民自らの手で作り上げていくには、まだ、その基本的な共通認識が社会的に熟成されてはいないようです。昨今、ビジネスの世界では「ナレッジマネジメント」という言葉がよく言われるようになってきました。これは、端的に言うと「知識の共有」ということであり、そのための技術やシステムをいかに整備するかということです。まさに、この「知識の共有」をまちづくりにおいて、多くの市民、行政そして専門家がどのように共有していくかが大切なことです。また、マクロ的に全体思考を確認し、さらにミクロ的に具体事業としての細かな足元の部分を検証しながら、マクロとミクロを相互に融合しつつ、段階的にスパイラル状に目的に向かって活動していくことで、その共有された知識を生かしていくことが最も重要なことと言えるでしょう。
「私」の便益は「私たち」の便益があってこそ実現されるものです。そして、そこに必要なものは、豊かなコミュニケーションとそれを助ける、技術と思考の合理的な体系なのです。
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