都心再開発における望ましい展開システムと住民の役割

既成市街地の再構築に向けて

 我が国において「既成市街地の再構築」は、社会的要請をうけた喫緊の課題となっています。

 平成9年6月、都市計画中央審議会基本政策部会は「都市政策ビジョン」(中間取りまとめ)で「都市の再構築」の推進を提唱。その後中心市街地の活性化や、不良債権問題に絡む土地の流動化などの問題が各方面で議論され、新・全国総合開発計画においては「大都市のリノベーション」が主要戦略のひとつとされ、さらには、総合経済対策(平成10年4月)をはじめとする各種対策において、都市再開発の総合的な推進の必要性などが重要課題に位置づけられるなど、我が国では「既成市街地の再構築」の意義が定着しつつあるところです。

 たとえば先の平成10年の総合経済対策では、内需拡大、経済構造改革、不良債権処理促進に係る施策を総合的に実施することを定めたもので、重点対策は 1).21世紀を見つめた社会資本整備(真に必要となる7分野、総額7兆7千億円)、2).所得税等に係る減免による経済の活性化、3).経済構造改革の推進等、4).土地・債権の流動化と土地の有効利用、等とされ、別途「土地債券流動化トータルプラン」では①債権債務関係の迅速・円滑な処理、②土地の整形・集約化と都市再開発の促進、③都市再構築のための公的土地需要の創出、の3点を柱としてとりまとめられています。再開発の分野では、これらのフォローアップを経て、本年春に都市再開発法の関連法がこれまでになく大幅な改正を見たことは記憶に新しいところです。

 一方、各種緊急対策をふまえた新聞報道等による盛んなアピールは、我が国の景気浮揚策としての即効性が求められており、中心市街地活性化策を含めて性急に解決すべきものとの論調が強いのも確かです。しかしながら、「既成市街地の再構築」とは、市民、事業者、行政など多くの立場にある人々の現実的な生活や経営にかかわるとともに、ひいては限りある地球環境の中における人間のライフスタイル、さらには我が国の少子化・高齢化社会の到来にも結び付けた検討を要する複雑なテーマですので、長い時間をかけてとりくむべき21世紀の大命題であると考えられます。

 さて、既成市街地の再構築ということばの意味合いですが、都市構造的な観点から、ここでは2つのカテゴリーで考えてみたいと思います。ひとつは地方都市を中心とする中心市街地活性化という活動。そして、もう一つは、大都市都心地域の再開発促進という活動に大きく分けられるのではないかと考えます。もちろん、この2つは厳密に切り分けられるものではないと思いますが、解決へのアプローチ方法に違いがあるものと考えられます。

 本稿では、後者の大都市都心地域における再開発促進というテーマを対象として、再開発のコーディネートを実践する立場から考察してみたいと思います。

 ここで述べる都心再開発を促進すべき地区のイメージとしては、空閑地の多い虫食い状の土地の低利用地域や、老朽木造建物の密集した地域、あるいは工場跡地を含む低利用地域などで、個別事業を複数に連続的に展開して都市活力を発揮しようとする場合で、概ね5~数十ヘクタール、大規模なものでは100ヘクタール程度を想定しています。

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