まちづくりNPOの持つ諸問題と 考えられる対応策
まちづくりNPOの役割と諸課題
人々のライフスタイルが多様化する中で、少子高齢化社会の進展に伴う福祉需要への対応、グローバル化する環境問題への対応、地域社会の生活改善など、複雑で多様な社会的需要が今後ますます増大するものと予測されます。
核家族化は進行し、コミュニティに関する考え方も変わってゆくなかで、内に閉じた家族という単位をほどき、世代を越えて融合する試みが今後それぞれのコミュニティに求められてくるでしょう。つまり、徹底したコミュニティ内の支え合いが必要なのであり、高齢者・障害者介護、出産、育児、ゴミ問題、環境共生、そして可能であれば生鮮野菜等の生活必需品をコミュニティ内で自給することまでも活動範囲に含んだ、コミュニティによるトータルケアが必要なのです。
そしてまた、それらの社会システムを優しく包含するハードウエアとしての街は、コミュニティ全体の調和を考慮した上で住民自らにより企画提案され、行政及び企業、市民の相互協力も得ながら、適切に情報開示が行われ、相互認知されたまちづくりとして実現されてゆくことが望ましいのです。
大都市圏域には、密集住宅地区など細密な区割りで防災上、環境上も問題を有する市街地が依然多く、日本の経済成長に見合う良好な住環境整備がなされているとは言えない現状です。そのような中、今後は点や線の部分的な開発ではなく、面的な整備に重心が移り、環境が優れ、市民相互の助け合いなど社会システム整備も含めた総合的なアメニティが考慮された住環境整備を目指してゆく段階に入っていくものと思われます。
密集市街地の面的整備を行い、それにより住環境の向上すなわち立地創造を行うということは、多くの場合、共同化による事業手法を採ることになります。その際に、地区内の権利者とのねばり強い交渉の中でその社会性を理解してもらうのが正論なのでしょうが、デベロッパーや行政が主体となっても、権利者の信頼を得にくいというのが現実です。まちづくりNPO(Non profit organization)が中立の立場で、その調整を行うことによって交渉がスムーズにいくことが期待されるのです。
また、共同化においては、各種権利者のニーズが細かく分かれ、しかも地域ごとに様相が違うので、その協議や調整は非常に手間がかかるものになっています。そういうニーズにきちんと対応していくためには地域に密着した地元の民間組織が、職能として適当であり、その点でもまちづくりNPOの早急な整備が求められているのです。
米国における代表的なまちづくりNPOの事例としてはCDC(Community Development Corporation)が挙げられます。全米に約3000存在し、都市内の衰退しつつある地域など低所得者が多い特定の地域を対象にコミュニティーの再生及び地域経済の活性化を目的として住宅供給、商工業開発、雇用開発などさまざまな事業を住民参加により進めるNPOです。CDCの活動資金は連邦政府からの補助金、控除など税制、州・自治体などの公的支援制度と共に、後述するLISC、CUEDもCDCの発展に大きく寄与しています。
このようなまちづくりNPOが活躍するためには3つの重要なポイントが挙げられます。第1点は、NPOが事業者や行政よりではない独自性を尊重することです。なぜなら、NPOが住民や利用者から、中立な第3者であるという信頼を得ることは、良き調整役であるための必須条件だからです。したがって、まちづくりに関する法人とはいっても、一定の事業者との連携ではなく全く中立な立場を維持することに留意する必要があるのです。
また、第2点としては、まちづくりNPOの設立を支援するしくみの必要性が挙げられます。まちづくりNPOは、都市計画や建築等の技術を要する場合が多く、単なる市民によるボランティアの延長で出来るようなものではないこと、また設立資金や人材の確保などが課題となるでしょう。
第3点は、運営面での援助です。運営資金のしっかりと確保するためにはそれなりの活動が必要ですし、また、議決権を平等に持つ所属員の集まりの中で、事業目的を達成するための責任及び権限の所在をどうするのかも難しい問題です。外部からの寄付・助成金等を受けようとすれば当然事業資金の整理等外部に対し組織運営の現状をきちんと説明できる資料の作成等も必要となります。そうした運営面でのサポートができる人材やシステムが求められます。
