まちなか居住にかかる提案と今後の活動

(1)商店街の活性化に取り組む
これまで長年にわたる商店街の活動により、空き店舗の活用によるまちかどステーション(一葉亭)の開設や、なまずまつり等のイベント開催により、集客などの成果をあげてきた。今後も引き続き、商店街が中心となって、空き店舗活用やまちなみ景観づくりを核として、個々の商店の持ち味を生かしつつ、多様で活発な話題づくり、魅力づくりを進める。この場合、本調査において取り組まれた、「空き店舗の活用による連鎖的な拠点作り」、「歴史的資源の活用による体験学習の場づくり」、「まち歩きなど、まちの個性をアピールする魅力づくり」を生かし、自治会やボランティア協会等と連携し、まちづくりの具体化に結びつくパイロットプロジェクトに取り組んでいくことが有効である。

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(2)住む人を増やす工夫をする
高齢者や子育て世帯をはじめとする居住人口の回復を図ることが急務である。このため、建替えや改修に合わせて耐震性、防火性、バリアフリーなど住宅の基本性能の向上に努める。この際、高齢単身世帯の居住の安定化を図るとともに、まちなかにふさわしい三世代居住のための住宅や店舗併用住宅の再整備を進める。さらに、まちなみ景観の形成、防災広場の整備に取り組み、安全で快適に住める市街地に改善する。この場合、行政は推進施策を用意するとともに、事業の具体化にあたっては住民ニーズの把握が極めて重要であるため、地域のまちづくり活動(竹鼻まちづくりフォーラム、ボランティア協会等)との協働体制を整えることが有効である。

(3)市民活動の場を創り出す
かつての賑わいを取り戻すためには、中心市街地を地域活動の場とし、ボランティア、サークルを含め、多くの人が集まり交流するようにしたり、中心市街地に存する文化的資源の活用を進め、居住者にも外来者にも魅力的な場を形成することが必要である。まちなか市民活動市場の社会実験を契機に、自治会や商店街、ボランティア活動の連携が生まれようとしているので、こうしたまちづくりの芽を育てるとともに、市民の自主的活動を行政が実験的に支援する必要がある。市民団体の企画提案に対して、活動の場づくりや運営のための資金を行政が助成する仕組みを構築することが有効である。

(4)居住人口の回復にかかる施策の拡充
本調査で見てきたとおり、多くの地方都市のまちなかでは、居住人口の高齢化に伴う人口の自然減少と子育て世帯の地区外流出が続いており、その反面、新規人口の社会増が少ないことから、固定化した人口が漸減する傾向にある。これが、まちなかの活力に大きく影響しており、居住人口の回復構造を取り戻さなければ、中心市街地の抜本的建て直しは不可能と思われる。
もともと地方都市における中心市街地は、商業と住宅が共存する複合地域であり、羽島市の商店街においても、そのほとんどが店舗併用住宅である。商店街の停滞もさることながら、用途の過半を占める住宅が老朽化し、放置されていけば、まちの雰囲気が暗くなるのは当然のことといえよう。
従来、地域の居住環境の整備や、集合住宅の建設については、手厚い支援措置が施されてきた。これらを活用してまちづくりを推進している地方都市の事例も多い。しかし、個別住宅の建替え、改修を直接的に支援するような施策は、一部の市町村が単独費を基に制度化しているに過ぎない。
確かに、個人資産である住宅の更新に公的助成を適用することは社会的理解を得にくい。
しかし、住宅の建替えや改修の誘導施策は、その効果がわかりやすいという利点もある。なぜなら、住宅の更新はその必要があって行われるものであり、商業等に比べて従後利用の安定性に関する不透明性がない。また、いくつ更新されたか、人口が何人増えたかなどの数値把握が明確である。さらに、商業の盛衰は経済活動や生活スタイルの変化、他店舗との競合関係など外的影響を強く受けるが、住宅は適切な管理と更新(すなわち内的努力)が行われる限り陳腐化するリスクが少ない等の理由がある。このように、まちなかにふさわしい専用住宅や店舗併用住宅等の建て替え、改修を強力に誘導するなどの住民が心動かされるようなインセンティブをもつ事業制度の拡充は、まちなか安心居住を推進する上での一助になるのではないか。
また、まちなか市民活動市場のような市民協働による取組は、多彩な交流を生み出すと同時に高齢化問題に対する地域活動支援など様々な観点からまちなか安心居住に有効であり、これからの居住環境の一要素ともいえるだろう。
そのため、まちなか安心居住を推進するためには、「市街地の環境整備」と「商店街活性化」に「居住人口の回復」と「市民活動の促進」を加えた枠組みに整理しなおし、国および市町村は、住宅の建替え、改修にかかる居住人口の回復及び、市民活動による新しいまちづくりにもっと視点を当てた施策を検討すべきと考える。

【参考文献】
市民参加型のまちなか安心居住の推進調査「まちなか市民活動市場構想」の実現に向けて,国土交通省住宅局,平成17年3月.

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